日本は既に超高齢社会に入っており、介護、医療にかかる経費が財政を圧迫しています。人生100年時代に入り長い高齢期を健康に過ごす・健康寿命を伸ばすことは一人ひとりの人生にとって不可欠です。
高齢者が健康で要介護になる時期を遅らせること、すなわち健康寿命を伸ばすことは超高齢社会の最重要課題です。
人類だけが長寿なのは社会的動物だから
ヒト(ホモサピエンス)は動物の中では例外的に長寿です。共同体で社会生活を営むようになった石器時代から急に寿命が伸びています。
ヒトだけが閉経後も長期間生きる理由を説明する「おばあさん仮説」では、子や孫の世話をみんなでする社会生活が寿命を伸ばすとしています。
高齢者の社会参加
多数の調査研究から健康寿命を伸ばすには社会参加が最も重要であることが明らかになっています。
(
長寿の秘訣は交流、
、
高齢者の社会参加活動)
。
ところが退職後社会から孤立する高齢者(特に男性)が多く、高齢者のほぼ半数が友達を持たず、殆ど会話しない社会から孤立した状況です。
近年退職年齢が上がり、退職後の新たな社会参加はだんだん難しくなってきています。
(
政府調査)。
さらに、退職前の現役世代からの新たな社会参加が求められます(
幸福にしてくれるもの)。
高齢者だけの交流より子どもや若者などを含めた多世代間の交流を
最近、高齢者介護施設と保育所を一緒にした幼老複合施設が増えています。高齢者と子どもの交流は、
高齢者、子どもともにメリットがあり、
これは元気な高齢者(アクティブシニア)にも、子どもだけでなく若者にも拡大できます。
これから環境破壊、食料難、格差など深刻な課題に直面し、一方、デジタル活用やAIの発展とともに働き方は大きく変わる。現在の職業の半数がなくなると予測されています。子ども達には困難な時代を生き抜く能力が必要なってきます。
それらの能力を育成するための教育内容と方法が変わってくる。
これからの時代に求められる能力
これからの時代に求められる能力は、
OECDのDeSeCo(Definition and Selection ofCompetencies)プロジェクト、P21の21世紀型学習のフレームワーク、ATC21S(Assessment and Teaching of Twenty-First Century Skills Project)、Education 2030、
日本の中央教育審議会や新学習指導要領など多くの機関から提言されてきた。それらの中でATC21Sが示す21世紀型スキルが具体的でわかりやすい(以下)。
21世紀型スキル(Wikipedia)
、
ATC21Sが示す21世紀型スキル
思考の方法
- 1 創造力とイノベーション
- 2 批判的思考、問題解決、意思決定
- 3 学びの学習、メタ認知(認知プロセスに関する知識)
仕事の方法
- 4 コミュニケーション
- 5 コラボレーション(チームワーク)
仕事のツール
- 6 情報リテラシー
- 7 情報通信技術に関するリテラシー(ICTリテラシー)
社会生活
- 8 地域と国際社会での市民性
- 9 人生とキャリア設計
- 10 個人と社会における責任(文化的差異の認識および受容能力を含む)
従来の教育ではとかく知識偏重だったが、これからは主体的な思考力や対人関係のスキルが重要視される。
それらのスキルをどのよう身につけていくか。そこにICTをどのように活用していくかの課題があり、その一つとしてGIGAスクール構想が強力に推し進められたいます。
GIGAスクールは米国巨大IT企業に依存、遅れる日本のICT
国が強力に進めているGIGAスクール(令和2年度補正予算:4269億円)では、GoogleのG-Suite
for Edcationか、Microsoftの育機関向けOffice 365の教育用クラウド、Apple社のクラウドを使い、それぞれ端末としてChromebook、Surface、iPadを使ってオンライン授業をする仕組み。
これまで1千万台近くのタブレットが配布済み(21年度7月末でGoogle40%、MicrosoftとAppleが約30%
端末の活用状況)。
全国の児童生徒がMicrosoftかGoogleのアカウントを取得し、将来も使い続けることになり、GIGAスクール構想は米国巨大IT企業による囲い込みを一層強固にしたと言えます。
監視社会資本主義について
監視社会資本主義について
世界最先端の電子国家エストニアでは
世界最先端の電子国家と言われているエストニアは、自国の企業Cybernitica社と協同でX-Raodと言う情報システムを作り、そこをプラットフォームとして行政に様々な情報のやり取りが行われています。
ブロックチェインのシステムを取り入れて第3者のアクセスを防ぎ、国民を守る法体系を整備。
X-Raodはオープンソースで各国に提供。日本のデジタル疔も採用するようです。自国の企業を使ったことでエストニアには幾多のベンチャーが生まれ、IT最先端の国になった。
エストニアでは国民は自由でデジタル政策を強要されることなく、紙の文書も使われるし、紙幣も使われている。
エストニアのICT
バーナーズ=リーの憂いとSOLIDの開発
Webの生みの親、バーナーズ=リー氏はWebが「不平等と分裂の推進役」に変わってしまったと嘆き(、ユーザーは製品やサービスの利用と引き換えに民間企業やサービスプロバイダーに個人情報を引き渡しているのを懸念。
オンラインデータの管理権限をそのユーザー自身に与える
SOLIDを開発した。
Webの現状を憂いSOLIDを開発した信念。
教育の基本 人と人との関係
教師と生徒、生徒と生徒の間の良い関係は、その後の人生に与える影響は大きい。習ったことを全て忘れてしまったとしても学校時代の人間関係は記憶に残り、生涯続く。
GIGAスクールでは生徒一人ひとりタブレットを持ち、生徒の能力に応じて最適化されたプログラムに従って学習が進む。生徒全員が黙々と自分のタブレットを使ってGIGAスクールのオンライン教材に向かい、先生が話すこともなく、シーンと静まりかえったGIGAスクールの教室風景。議論はチャットで。アクティブラーニングで生徒同士が議論する賑やかな教室とは対象的です。
また、オンラインの教材では教師の独自性を発揮できる箇所がないでしょう。先生から直接聴く話は生涯記憶に残り、人生に大きな影響を与えることもあります。先生と生徒、生徒同志の人間関係はデジタルだけでは築くことはできません。
人の話を聴くことや対面で話すことは協調性、コミュニケーション能力を育てるのに欠かせません。
思考力を高めるには
記憶がなければ思考できません。記憶と思考は表裏一体のものです。思考やひらめきはいろいろな記憶の組み合わせから生まれます(デフォルトモードネットワーク)。散策中やぼーっとしているときに思わずひらめくことはよくあることです(デフォルトモードワンダリング)。人間がAIより優れている点です。記憶を外部記憶(デジタル機器など)に任せておいては脳内に記憶できす、思考力を高めることはできません。
インターネット検索で調べた内容は記憶されにくいと言われます。インターネット空間は外部記憶装置として認識され、記憶をそっちに任せて、脳は記憶しない。グーグル効果とかデジタル健忘症と言われています。メモをとる、これも外部記憶になり、グーグル効果が現れるといいます。GIGAスクールのようにインターネットによる教育やデジタル教材は便利ですが、思考力、記憶力を育てるという観点から対面の授業にかないません。教育には人と人の対面のコミュニケーションが不可欠です。
プログラミング教育
2020年から小学校にプログラミング教育が導入された。この目的の一つがこれからの時代を生き抜くための論理的思考能力や創造力などの「プログラミング的思考」を身につけること。
STEAM教育
ICTリテラシー
急速に発展しているICTを使いこなせる力をつける、悪質サイト等からの危険を避ける、これらは従来のICTリテラシー教育。
子どもにとってスマホの健康面への影響(脳障害、依存性など)が指摘されており、スマホの有害性を教育する必要がある。
子どもにスマホを使わせないことが一番良いが、今の時代難しい。スマホの有害性をスマホに替わるものがないか。