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生涯に渡って学習は脳神経細胞を新生します。生涯学習は認知症予防に極めて有効です |
成人期の聴力低下と若年期教育年数は,学習の低下が認知症発症リスクの大きな要因になっていることが示されています。
成人期の聴力低下は、難聴によって脳への音刺激や情報量が減少し、脳の萎縮や神経細胞の弱まりが進むことが、認知症の発症に影響すると考えられています。
若年期の学習習慣は高齢期に影響し、若年期に学習習慣がないと高齢期になっても学習する習慣が身につきにくく認知症発症リスクを高めます。
言い換えれば若年期の学習習慣がない人でも高齢期に学習習慣を身につければ認知症発症リスクを下げられることを示唆しています。
以上、学習が認知症予防にもっとも有効であることが示されています。
SOMPO 未来研レポート:高杉要より
認知症発症リスク
学習と脳神経細胞新生は密接に関連しており、学習によって脳内で新しい神経細胞が生まれます。
脳神経細胞は生涯にわたって新生し、それは主に海馬の歯状回で起こります。
これらの部位で神経幹細胞が分裂・分化し、新しい神経細胞が生まれます。
海馬とは?!記憶をつかさどる脳の海馬について徹底解説
記憶の固定化は睡眠中に行われます。睡眠中の記憶固定化には、レム睡眠とノンレム睡眠の両方が関与しています。
ノンレム睡眠中のデルタ波や紡錘波、レム睡眠中のシータ波が記憶の形成、定着に重要な役割を果たすと考えられています。
ノンレム睡眠とレム睡眠
認知症の種類 | 特徴 |
アルツハイマー型認知症 約68% |
アミロイドβやタウタンパク質といったたんぱく質が脳に沈着し、脳が萎縮する
記憶障害、見当識障害、理解・判断力障害、実行機能障害 |
血管性認知症 約20% |
脳梗塞や脳出血が原因となり脳細胞が破壊されることで引き起こされる認知症 歩行障害・言語障害・嚥下障害 |
レビー小体型認知症 4% |
脳にレビー小体というたんぱく質のかたまりができることで神経障害が引き起こされる認知症
嗅覚の低下、睡眠中に身体が激しく動くなどの異常行動、パーキンソン症状 |
前頭側頭葉変性症 1% |
前頭葉や側頭葉の神経細胞が変性や脱落により、徐々に進行する認知症
人格変化・行動障害・言語障害 |
グリンファティック・システム(Glymphatic system)
脳脊髄液が脳の老廃物を洗い流す仕組み
脳血管周囲の隙間を体液が流れ、老廃物を運び出す。特に、アストロサイトという細胞の突起に存在するアクアポリンという水分子を通すタンパク質が
この液体の流れをスムーズにするのに重要です。
睡眠中は、脳脊髄液の流れが活発になり、老廃物の排出が促進されます。特に、ノンレム睡眠時には、脳脊髄液の「大波」と呼ばれる現象が起こり、
脳内を効率的に洗浄することが研究で示されています。