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生涯に渡って学習は脳神経細胞を新生します。生涯学習は認知症予防に極めて有効です |
生涯学習の理念は教育基本法に明示されているように、生涯学習は、生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所で、自らの意思に基づいて、学習を続けることです。
学習によって新しい脳細胞が作られます(脳細胞新生)。脳細胞新生の能力は生涯維持されます。生涯学習は、認知症予防に極め有効であることが脳科学でも明らかになってきました。
ラズパイ(Raspberry Pi)は、ICT、AI、プログラミング、電子工作、IoTなど幅広く学べる最高の教材です。
NPO法人らくビットではラズパイについて様々な学習をしています。
ラズパイの学習で認知症予防
1. 問題解決能力を養う
部品の組み立て、OS のインストール、設定、トラブルシューティングなど、「考える」「調べる」「試す」を繰り返すため、脳の前頭前野を活性化します。
2. 新しいスキルの習得が脳に良い
新しいことを覚える活動は脳の認知予備能(cognitive reserve)を高め、認知症リスクを減らします。
Raspberry Pi は常に新しい知識を要求されるため、この点で非常に良い刺激になります。
3. 手先を使うことは脳の活動を活発にする
細かいパーツを扱ったり、ケーブルを配線したりすることで手先の運動と認知活動を同時に使い、これは脳全体の活性化につながります。
4. 成果が見えるのでモチベーションが維持しやすい
点灯するLED、走る車、ロボットや、プログラミング作品など「できた!」という達成感は脳の報酬系を刺激し、継続しやすくなります。
5. ラズパイのコミュニティは色々あり(らくビットもその一つ)、人との交流も認知症予防になります。
生涯学習で認知症予防
認知症患者 日本で急増 欧米で半減 何故?
日本では認知症の有病率・発症率が急増していますが、欧米では認知症の有病率が 2割~6割、発症率が2割~4割低下したという報告が続いています。
日本では退職後、特に後期高齢期以降に何もしなくなる人が多いのに対し、定年のない欧米では生涯現役で活動する人が多いことがあげられています。
頭を使う知的活動が認知症予防に有効であり、生涯学習は認知症予防に極めて有効です。
認知症発症リスク
成人期の聴力低下と若年期教育年数は,学習の低下が認知症発症リスクの大きな要因になっていることが示されています。
成人期の聴力低下は、難聴によって脳への音刺激や情報量が減少し、脳の萎縮や神経細胞の弱まりが進むことが、認知症の発症に影響すると考えられています。
若年期の学習習慣は高齢期に影響し、若年期に学習習慣がないと高齢期になっても学習する習慣が身につきにくく認知症発症リスクを高めます。
言い換えれば若年期の学習習慣がない人でも高齢期に学習習慣を身につければ認知症発症リスクを下げられることを示唆しています。
以上、学習が認知症予防にもっとも有効であることが示されています。
SOMPO 未来研レポート:高杉要より
認知症発症リスク
生涯学習が認知症予防に最も有効
上掲の表から認知症予防にもっとも効果のあるのは「高齢期になっても学習する習慣で」あり、生涯学習こそもっとも有効な認知症予防になります。
学習により海馬で脳神経細胞が新生
学習と記憶に関係している脳の部位は海馬です。学習により海馬で新たに脳神経細胞が作られ、睡眠中に大脳皮質に移動します(記憶の固定化)。
海馬の脳神経細胞新生は高齢になっても維持され、学習による効果は生涯維持されます。一方、認知症患者の海馬は萎縮しています。
学習と脳神経細胞新生は密接に関連しており、学習によって脳内で新しい神経細胞が生まれます。
脳神経細胞は生涯にわたって新生し、それは主に海馬の歯状回で起こります。
これらの部位で神経幹細胞が分裂・分化し、新しい神経細胞が生まれます。
海馬とは?!記憶をつかさどる脳の海馬について徹底解説
睡眠中に記憶が固定化
記憶の固定化は睡眠中に行われます。睡眠中の記憶固定化には、レム睡眠とノンレム睡眠の両方が関与しています。
ノンレム睡眠中のデルタ波や紡錘波、レム睡眠中のシータ波が記憶の形成、定着に重要な役割を果たすと考えられています。
ノンレム睡眠とレム睡眠
睡眠と認知症予防
認知症には主に4つの種類があります。その他アルコール性認知症など
| 認知症の種類 |
特徴 |
アルツハイマー型認知症 約68% |
アミロイドβやタウタンパク質といったたんぱく質が脳に沈着し、脳が萎縮する
記憶障害、見当識障害、理解・判断力障害、実行機能障害
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血管性認知症 約20% |
脳梗塞や脳出血が原因となり脳細胞が破壊されることで引き起こされる認知症 歩行障害・言語障害・嚥下障害 |
レビー小体型認知症 4% |
脳にレビー小体というたんぱく質のかたまりができることで神経障害が引き起こされる認知症
嗅覚の低下、睡眠中に身体が激しく動くなどの異常行動、パーキンソン症状
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前頭側頭葉変性症 1% |
前頭葉や側頭葉の神経細胞が変性や脱落により、徐々に進行する認知症
人格変化・行動障害・言語障害
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認知症患者の7割近くを占めるアルツハイマー型認知症の予防が重要なことは言うまでもありません。
睡眠中にアルツハイマー型認知症の原因物質が洗浄される
脳脊髄液は約130mlあり、一日に450ml生産され、3,4回入れ替わます。脳脊髄液が脳の老廃物を洗い流す仕組みがわかってきました。
脳脊髄液が脳の老廃物を洗い流す仕組みとして
グリンファティック・システムが注目されています。
グリンファティック・システム(Glymphatic system)
脳脊髄液が脳の老廃物を洗い流す仕組み
脳血管周囲の隙間を体液が流れ、老廃物を運び出す。特に、アストロサイトという細胞の突起に存在するアクアポリンという水分子を通すタンパク質が
この液体の流れをスムーズにするのに重要です。
睡眠中は、脳脊髄液の流れが活発になり、老廃物の排出が促進されます。特に、ノンレム睡眠時には、脳脊髄液の「大波」と呼ばれる現象が起こり、
脳内を効率的に洗浄することが研究で示されています。
画像の引用先
生涯学習は認知症予防に極めて有効であることが脳科学的にも明らかになってきました。
睡眠は学習によって新生した脳細胞の大脳皮質への移行とアルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドベータの洗浄という2つの重要な働きをしています。
生涯学習と睡眠で認知症を予防することは難しいことではありません。 もう歳だからと言わず、何歳になっても新しいことを学び、挑戦したいものです。
食事と運動は認知症予防を含め病気の予防に重要です。
食事
野菜と魚が中心の和食が推奨されます。
運動
野菜と魚が中心の和食が推奨されます。